紫外線対策は本当に子どもの頃から必要?
紫外線対策は本当に子どもの頃から必要なのでしょうか?
かつては赤ちゃんの日光浴や子どもの日焼けは健康に欠かせないと信じられてきました。
紫外線は骨や歯の形成に欠かせないビタミンDの生成に必要ですし、地球上の生態系にも欠かせません。可視光線は体内のホルモンバランスを保つのに重要な光線です。
しかし1960年頃より、紫外線はDNAを傷つけることが分かり、特に白人の多い国が紫外線対策を講じるようになりました。
紫外線を浴びることにより表皮の細胞や、一部真皮の細胞の遺伝子に傷がつきます。
また、目にも紫外線の影響が出ることがわかり、目の紫外線対策も論じられています。
今「一生に浴びる紫外線の半量以上を18歳までに浴びる」といわれており、乳幼児期からの紫外線曝露のダメージの蓄積が懸念されています。(※WHOより)
子どもの頃から紫外線対策が必要な理由は
• 子どもは成長過程にあるため「紫外線の悪影響」を大人より受けやす
• 子どもの皮膚は大人に比べて刺激に弱い(子どもの皮膚は大人の半分ほどの薄さ
• 一生に浴びる紫外線の半量以上を子供期(18歳まで)に浴びてしまう
という点です。
子どもは紫外線の影響をとても受けやすく、しかもダメージを蓄積してしまいます。
子どもの頃から浴びた紫外線の量が多いほど、将来の健康に悪影響が起こると言われているので、小さいころからの紫外線対策はとても重要です。
実験
マウスを使った実験でも、若齢のマウスに紫外線を照射した群の方が、総紫外線量は同じでも皮膚がんの発症が早く、かつ多くできることが証明されています。
子どもの皮膚(若齢マウスの皮膚)は大人に比べて細胞分裂の回数が早くて多いため、
遺伝情報のミスが生じ、長いときを経て疾患へとつながるのです。
これまでの多くの疫学調査でも、年間の紫外線照射量が多い地域の住民や、屋外労働者に皮膚がんをはじめとする皮膚疾患や皮膚の老化現象が多いということが分かっています。
また、同じ紫外線量でも子どものときから浴びているほど紫外線の悪い影響が大きいということも分かっています。
具体的にどの時期から紫外線対策を手がければよいでしょう
子ども用の日焼け止めクリームは、生後6か月以降からの使用が可能です。
しかし、それまでは紫外線対策が必要でないわけではなく、外出の際は無防備な状態で
紫外線を浴びないようにすることが大切です。母子手帳の言うように「外気浴」程度でよいのです。
頭から足の爪の先まで、おくるみにくるんでがっちりガードする必要はありません。
また紫外線を気にしすぎて、外出しないことも適策ではありません。
ベビーカーのフードを活用したり、ストールやタオルを使ったり、日陰を利用したりするなど、上手に紫外線を避けることを心がけるとよいでしょう。
子供用のUVカットウエアで肌を安全に守ることもお勧めです。
小さい頃のUV対策の習慣は、生涯の宝物となって無駄な日焼けをしないでしょう。
親子で、どんな紫外線対策ができるか話してみて下さい。
参考資料:
佐々木政子(2015)『学んで実践!太陽紫外線と上手につきあう方法』丸善出版.
佐々木政子・上出良一(2008)『知って防ごう有害紫外線—太陽紫外線と上手につきあうために』少年写真新聞社.
市橋正光(2002)『紫外線Q&A—お日さまと仲良くつき合う方法』シーエムシー出版
株式会社ピーカブー
エポカル プロデューサー
松成紀公子