学校生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会の統一見解

 

http://www.jocd.org/img/top/top_oshirase_111108.pdf

お子さんとその保護者さん、ならびに保育園・幼稚園・学校の先生方へ

学校生活における紫外線対策に関する具体的指針

紫外線対策は美容目的だけではありません。不必要に過剰な紫外線に曝露され ることにより、健康にさまざまな悪影響が生じます。子どもの時から適切な紫外 線対策を行うことは、生涯にわたり健やかな肌を保つために大切な生活習慣の一 つです。

1.屋外活動 1)時間を工夫する 紫外線は、1日のうちでは早朝や夕方は非常に弱く、10時から14時が強くなりま す。なるべく紫外線の弱い時間に屋外活動を行い、紫外線の強さを表す UV イン デックスを参考にして強い時間に行う時は紫外線対策をきちんと行いましょう。 1 年の中では 4 月から 9 月が強く、皮膚は色素を増し角層(皮膚の最外層)が 厚くなることで春先より夏から秋にかけて紫外線に対する抵抗力が強くなります。 運動会など、長時間、紫外線を浴びる行事は春よりも秋が良いでしょう。

2)場所を工夫する 日陰は日向の約 50%に紫外線が減るので、テントやパラソル、よしず等を積極 的に利用しましょう。曇りでも晴天の 80%以上の紫外線が出ているので対策は必 要です。

3)帽子、服で覆う 帽子のつばが 7 センチあれば約 60%の紫外線をカットできるので、なるべく被 るようにしましょう。七分袖や襟付きのように体を覆う部分の多い服のほうが紫 外線から肌を守ることができます。生地の色は濃い色のほうが紫外線を吸収しま すが、熱中症の懸念から、白か淡い色のもので、織目や編目がしっかりした綿か ポリエステル・綿の混紡素材のものを選ぶと良いでしょう。

4)サンスクリーン剤を上手に使う サンスクリーン剤の強さを示す SPF と紫外線防御能は直線的には比例せず、む やみに強いものを使わずとも SPF 15 以上であれば学校生活における紫外線対策 としては十分です。ただし、たっぷりと均一に塗らないと期待通りの効果は得ら れません(塗る量は顔ではクリームならパール大、液なら1円玉大を手のひらに 取って塗り伸ばし、同じ量で二回塗りしてください。首、胸元、腕や背中なども 塗り忘れや塗りむらがないように塗ってください)。屋外活動の 15 分前までに塗 ると肌になじんで青白さが目立たなくなります。また、効力が弱くなったり、汗 で流れたりもするので、2、3 時間ごとに重ね塗りするとより効果的です。

2.プール授業 最も肌を露出し、紫外線の影響を受け易いので、紫外線対策は重要です。

1)時間を工夫する 紫外線の強い時間をなるべく避けましょう。

2)場所を工夫する 室内プールの利用、プールの上に天幕を張るなどして泳ぐ時の紫外線を防ぐの が理想ですが、プールサイドにテントを用意すれば、泳がない時の紫外線から肌 を守ることができます。

3)服で覆う プール外での体操着の着用や、泳ぐ時にラッシュガード*を着用するのも紫外線 防御に役立ちます。 ラッシュガード*:紫外線防御、擦り傷から肌の守ることを目的としてプールやマリンスポーツ時に着 用する衣類。身体にフィットして濡れても大丈夫な素材でできたTシャツのようなもの。

4)サンスクリーン剤を上手に使う プールの水質汚濁が懸念されていますが、耐水性サンスクリーン剤を使用して も汚濁されないことは複数の実証実験で明らかになっています。必要な時には使 用を許可しましょう。塗る時間は午前の授業であれば通学前に自宅で、午後の授 業であれば昼休みに場所を決めて塗るようにすると時間の無駄がなくて良いでし ょう。

3.子どもが使うのに適したサンスクリーン剤 学校生活で用いるのに適したサンスクリーン剤は以下の条件を満たすものが推 奨されます。

① 「SPF 15 以上」、「PA ++ ~ +++」を目安 普通の学校生活においては高SPF のものをむやみに使う必要はありません。 ② 「無香料」and「無着色」の表示があるものに制限 ③ プールでは「耐水性」or「ウォータープルーフ」表示のもの

紫外線は必ずしも怖いものではありませんが、上手に付き合っていくことは重 要です。特に紫外線に短時間当っただけで、真っ赤になるけれど色素沈着になら ないお子さんのケアは大切です。

平成 23 年 10 月

日本臨床皮膚科医会